腎移植後早期にアデノウイルス感染症を契機として急性抗体関連型拒絶反応により移植腎摘に至ったABO血液型不適合腎移植症例

名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター
* 古宮 俊幸、後藤 憲彦、武田 朝美、堀家 敬司、小野田 浩、
坂井 薫、北村 謙、山本 慶子、及川 理、長坂 隆治、
平光 高久、島袋 修一、鈴木 啓介、佐藤 哲彦、渡井 至彦、
打田 和治、両角 國男

 症例は63歳女性、52歳時にループス腎炎による慢性腎不全にて血液維持透析導入された。65歳の夫をドナーとするABO血液型不適合腎移植(A型→O型)目的にて入院となった。移植に先立ち腹腔鏡下脾臓摘出術施行し、Cyclophosphamide(CPA)の内服を開始しDFPP4回施行した上で生体腎移植術を施行した。移植直前の抗A抗体価
IgM×4、IgG×16だった。免疫抑制剤はtacrolimus+PSL+CPA+basiliximabを使用した。術後の利尿は良好でCrも0.75mg/dlまで低下した。術後7日目より38℃台の発熱と膀胱刺激症状が出現し、尿路感染症を疑い抗生剤(LVFX)開始するも改善がなかった。尿アデノシェルバイアル陽性・全血アデノウイルスDNA陽性より、アデノウイルス出血性膀胱炎・血症と診断した。白血球減少もあることよりCPAを中止しγグロブリンを投与した。しかし発熱とアデノウイルス血症は持続し移植腎機能は次第に増悪したため術後19日目より血液透析を開始した。術後20日目に移植腎生検施行し、Acute humoral rejection(type II)と診断した。しかし、アデノウイルス血症は継続していることより、免疫抑制療法の強化は困難と考え血漿交換療法を施行し、抗ウイルス薬(rivabilin)を開始した。しかしながら、その後も腎機能の改善は見られず移植後34日目に移植腎を摘出した。腎移植後早期に併発したアデノウイルス感染症を契機として急性抗体関連型拒絶反応が引き起こされ、移植腎摘に至った症例を経験したため報告する。

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