非特異的尿細管間質病変の見方、考え方

東京慈恵会医科大学柏病院 病理部
* 山口  裕

 移植腎生検の観察では、移植腎の病態と生検像との対応で、うまく一致する時とそうでない場合がしばしばある。移植早期ではドナー腎の0時や1時間生検の情報が無いと種々の持ち込み病変との鑑別が問題になる。長期生着例では移植腎に移植後影響のあるすべてが関係し、臨床的に明らかな事項と拒絶反応やCMV、EBVなどのウイルス血症を含むsubclinicalな臨床で捉え難い病態の関与を考慮する必要がある。更に除神経や片腎である移植臓器特有の変化が考えられ、動脈系の不完全な自動能や過剰負荷或いは血量不全と共に加齢による動脈系に対する負荷が現れ易い。此処では移植早期と長期に分けて日常出会い易い尿細管間質病変の組織像を提示し、特にepisode biopsy後の1、2年protocol biopsyの重複生検などを交えて 、その意義を考えてみたい。

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