腎移植後9か月目に発症し治療抵抗性であった拒絶反応の1症例


市立札幌病院 腎移植科
* 諸岡 加奈子、原田  浩、平野 哲夫
市立札幌病院 泌尿器科
三浦 正義、宇野 仁揮、田邉  起、高田 徳容、関  利盛、
富樫 正樹
市立札幌病院 病理科
小川 弥生、武内 利直

 症例は33歳男性、CGNによるESRDにて母をドナーにpreemptive腎移植施行した(TAC、MMF、MP、basiliximab)。ABO 血液型不一致(以上腎移植後9 か月目に発症し治療抵抗性であった複合拒絶症例を報告する。B→AB)、HLA 3/6 ミスマッチ。抗HLA抗体陰性であった。sCr1.1mg/dl にて良好に経過していた。9か月後に下痢に引き続くsCr の上昇あり(4.0mg/dl)。TAC、MMFの濃度は低値であった。腎生検(1)を行った。single beads Flow PRA にてclass II DSA-HLA Ab(+)であった。MP pulse、DSG投与するも効果なく、腎生検(2)を行ったが、同様の所見で組織学的改善は乏しく、またDSA-HLA Abも消失しなかったため、MMF増量、MP pulse、rituximab、IVIG投与およびDFPPを施行した。しかし、sCr低下せず、腎生検(3)にて病変の進行が確認された。その後、OKT3 3日間、MP pulse、basiliximab にて加療し、一時sCr低下を示すも再上昇したため、OKT3を4日間追加した。sCr 2.1mg/dl にまで低下し、腎生検(4)でも病変の改善がみられた。
以上腎移植後9か月目に発症し治療抵抗性であった複合拒絶症例を報告する。
(抄録の一部はアナライザーセッションのため変更しました。)


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