MMF休薬後に高度な血管型拒絶反応を生じた生体腎移植後の1例

東京女子医科大学 腎臓外科
* 小川 勇一、頓所  展、白井 博之、工藤 真司、添野 真嗣、
富田 祐介、小山 一郎、唐仁原 全、中島 一朗、渕之上 昌平、
寺岡  慧
東京慈恵医科大学柏病院附属 病理部
山口  裕

【症例】64歳男性 主訴:全身倦怠感 浮腫
【既往歴】平成11年4月より慢性腎不全で腹膜透析導入(現疾患不明)。
【現病歴】平成19年3月12日フィリピンにて生体腎移植術施行。血液型適合腎移植、HLA A,B,DRともに1マッチで、免疫抑制剤はFK、MMF、PSL、Daclizumabで導入された。3月17日よりASTの上昇を認め、薬剤性肝障害が疑われ、原因の1つと考えられるMMFを減量、3月23日から中止となっていた。4月6日フィリピンより帰国。4月10日より尿量減少、浮腫の出現があり、4月13日当科受診し、拒絶反応が疑われ入院となった。
【入院後経過】4月13日よりステロイドパルス療法および血液透析を施行した。入院時Creは9.8mg/dlであった。4月16日移植腎生検施行し、腎間質に出血を伴う細胞浸潤及び抗体関連型の血管型拒絶反応と診断された。4月17日よりステロイドパルス療法、OKT-3の投与を開始した。4月20日より尿量の増量があり、4月21日からは透析離脱となった。4月27日再度移植腎生検施行し、拒絶反応の残存はあるが改善を認めた。その後は経過良好でCreは1.0mg/dl前後で推移している。
【結語】今回我々はMMFを中止したことにより血管型拒絶反応を生じ、OKT-3・ステロイドパルス療法にて良好な移植腎機能を回復し得た1例を経験したので報告する。


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