中国での死体腎移植後のプロトコールバイオプシーにて急性血管型拒絶反応と診断された1例

大月市立中央病院 泌尿器科
* 清水 朋一
戸田中央総合病院 泌尿器科
益本慶太郎、角山 邦子、飯塚 淳平、徳本 直彦
東京女子医科大学 泌尿器科
石田 英樹、田邉 一成
東京慈恵会医科大学柏病院 病理
山口  裕

症例は54歳、日本人男性。
平成16年11月、原疾患不明の慢性腎不全にて血液透析導入。
平成18年1月、中華人民共和国に渡航して死体腎移植施行。
初期免疫抑制はCyclosporin A(CYA)、mycophenolate mofetil(MMF)、methylprednisolone(MP)の3剤併用であった。
移植後、移植後糖尿病に罹患したものの、s-Cr 1.1mg/dL前後と移植腎機能は良好であった。
平成18年2月、中華人民共和国より日本に帰国、しばらくは近医にて外来フォローアップされていた。
平成18年3月16日、フォローアップ目的にて戸田中央総合病院に入院。
入院後s-Crは1.1mg/dLから1.3mg/dLであった。
平成18年4月6日、プロトコールバイオプシーを施行した。
病理組織学的に、1.Acute vascular rejection, infiltrative, sever. 2.Transplant glomerulitis, sever. 3.peritubularcapillaritis, moderate.であった。
免疫組織学的検索では傍尿細管毛細血管(PTC)へのC4dの沈着を認めず、以上より急性細胞性血管型拒絶反応と診断した。
その後移植腎機能も低下したため、ステロイドパルス療法を2回施行し、デオキシスパーガリンも投与し、現在移植腎機能は安定しs-Crは1.1mg/dLである。
今回、この中国での死体腎移植後のプロトコールバイオプシーにて急性血管型拒絶反応と診断された1例を報告するとともに、他の戸田中央総合病院で加療した中華人民共和国で施行された死体腎移植後の日本人レシピエントについても考察を加え報告する。

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