燻り型抗体関連拒絶反応が遷延し、慢性血管型拒絶反応の組織像を示した二次移植例

三井記念病院 病理部
* 藤井 晶子
慈恵医大柏病院 病理部
山口  裕、山本  泉
東京女子医科大学腎センター 病理検査室
堀田  茂
東京女子医科大学 泌尿器科
田辺 一成

症例:56歳女性。
26歳時に父親をドナーとして生体腎移植を行ったが44歳時に血液透析再導入となった。
55歳時に59歳の夫をドナーとしてABO不適合の二次生体腎移植および脾摘を行った。
PRA強陽性でリツキサンを術前に投与された。移植後sCr0.6-0.9で経過するも術後17日目に2.26に上昇し、腎生検では急性血管型拒絶反応と診断された。術後31日目にsCr1.23まで改善したが腎生検ではperitubularcapillaritisとtransplant glomerulitisが軽度見られ、抗体関連拒絶反応を疑う所見を認めた。その後サイトメガロウイルス感染症で再入院。sCr1.7に上昇し、術後2ヶ月目の生検で再び抗体関連拒絶反応を疑う所見を認めた。その後腎機能の低下は認めなかったが、術後6ヶ月目と9ヶ月目のプロトコール生検で抗体関連拒絶反応と診断された。今回術後14ヶ月目のプロトコール生検は慢性拒絶反応の像を示し、小葉間動脈に新生中膜を伴うsclerosing vasculopathyを認めた。臨床的には腎機能が比較的保たれていたが、プロトコール生検で軽度の液性拒絶反応が継続し、更に慢性血管型拒絶反応の像へ移行した一例を報告する。


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